皆さんは矯正の先生ってどんなイメージを持たれていますか?
華やかそう・・儲かってそう・・ちゃらちゃらしてそう・・
はたから見るとそんな風に思われることもありますが、内情はずばり!
矯正に本気で、上手な先生であればあるほど熱い!!です
燃える闘魂といってもよいでしょう・・
ところでこれを読んでいるあなたはLCM矯正ってご存じですか?
Low cost mouthpiece矯正、つまり格安マウスピース矯正のことです。
一枚数万円~あなたが満足するまで。
30万円でできるお手軽矯正♪
宅配事業のヤマトがサービスを開始した歯科医を通さないマウスピース矯正
インビザラインが登場して早30年、雨後の筍状態でたくさんのマウスピース制作会社が登場しています。
あれから30年・・・
安くて早くてうまい、牛丼チェーンみたいな矯正なんてあるのかしら・・
あるならやってみたい!
一般の方がそう思われるのは当然です。
かくいう私も牛丼は大好きですからね。
でも「なんで安いんだろう?」
そう思ったことはありませんか?
答えは「歯科医師があまりかかわっていない。企業主導のマウスピース矯正だから」です。
ちなみに歯科医師を通さないLCM矯正はそもそも10年以上前にアメリカで誕生しています
そして・・・アメリカ矯正歯科学会と裁判になったりと、いろいろ問題になっています。
ちなみにその先駆けとなったsmile direct clubの株価は・・・暴落しています。
これはとある格安マウスピース矯正の会社が出している求人ですが・・
条件:歯科医師免許
*矯正経験の有無は問いません
あなたは運転の経験がないペーパードライバーの車に乗せてもらう勇気はありますか・・・?
矯正治療って初めての時は一症例仕上げるのに最短でも1年半から2年はかかるんです。
歯がどんなふうに動くのか体感することは矯正歯科医にとって大変重要です。
作用があれば反作用もあるから、
「動かすのは前歯だけ。奥歯は動かしません」
そういう矯正治療って、実は言うほど簡単ではないと考えています。
言うは易く行なうは難し。2000年以上前の偉人の言葉は普遍性に満ちています・・私も心に刻みます。
↑紀元前81年に行われた経済論争を記録した書だとか・・by桓寛(カンカン)
もちろん歯科医師であれば矯正治療を行うことはできますし、矯正の専門でなくても上手な先生がたくさんいらっしゃるのは知っています。
そして誰しも「初めて」の患者さんがいて、その結果が私たちの今につながっています。
しかし、企業主体の矯正で、「初めて」の歯科医師が安全に治療が行えるかというと不安があると正直思います。
そこは企業ではなく、矯正のことをよく知っている歯科医師主導でないといけないのでは?と考えます。
企業が主体となって患者さんが置いてけぼりになってしまった状況が
先日のマウスピース矯正の詐欺事件にもつながるのではないかと。
そのあたりを今一度、企業にしっかり考えていただきたいと思っています。
先日、勉強会に参加した時にも
とある有名な先生が
かたやtiktokで情報発信しているLCM矯正 VS LCM矯正の危険性を公式サイトの奥のpdfで発信している日本矯正歯科学会
どちらが情報の啓蒙活動として勝つと思いますか?
きちんと情報発信をしてこなかった我々にも責任があるのではないかとおっしゃっていました。
やはり熱い・・・!
私たち矯正科医は、見た目を治す治療をしていますが、同時に「かみ合わせを治す治療」をしています。
見た目だけ治す矯正は「機能」が伴いません。
たとえば成人では50~60kgの咬合力を28本の歯が、負担していますが
入れ歯になってしまったら、咬合圧はその20%しか負担できないといわれています。
昔は平均寿命が短かったので,歯も60年くらい持てば良かったのかもしれませんが、いまや平均寿命は約85年。
(
これを読んでいるあなたが10代なら、あなたがおばあさんになるころには人生100年になってるかもしれません・・・
歯の寿命も伸ばしていかないといけませんね。
入れ歯にすればいい。インプラントにすればいい。
いやいや、自分の歯を失わずに済めば、一番安上がりで快適に健康でいられるのではないでしょうか。
↑日本最古の建築物である法隆寺の五重塔の免振技術は東京スカイツリーにも採用されているそうです。
1300年の歴史が今に続いているのは。「様式美」と「普遍的な建築構造」が両立しているからだと思います。
歯を失ってから100万円かけてインプラントにするなら、
その100万円で歯を失わないようにするためにも、今から歯をいい状態にした方がコスパがよいでしょう。
しかし見た目だけではなく、機能が伴っていなければ、あなたの歯の寿命は延びません。
今はたくさんの情報が溢れていますし、その中から必要な情報を選んでいくのは本当に難しいなぁと思います。
しかし、患者さんのコンプレックスを刺激して、ナンチャッテ矯正に誘導するのは罪深いなぁと個人的に感じています。
人によっては聞苦しいと思いますし、そこまで求めていないんだよという患者さまがいらっしゃるのもわかります。
それでも、自分の中の情熱はこれからも大切にしていきたいなと思います。
※上記はあくまでも当院の院長の個人的な見解となります