矯正治療後の後戻りってなに?後戻りはどうして起こるの?
こんにちは。
荻窪プラム矯正歯科です。
矯正治療により、整った歯並びを手に入れた!
この歯並びがこれからもずっと、続きますように、と、皆さん思われることでしょう。
長い時間をかけて治療してきたご自身の歯並びですから、この先も続くことを望まれるのはもちろんです。
今日は、そんな、矯正治療後のメンテナンスについてお話します。
目次
1.歯がきれいに並んだら、矯正治療は終了なのか?
2.後戻りはどうしておこる?
3.リテーナーについて
4.まとめ
1.歯がきれいに並んだら、矯正治療は終了なのか?
皆さんの、矯正治療の動機は何でしょうか?
きれいな歯並び。
よりよいかみ合わせを得るために。
口元を改善したいから。
それぞれの動機は違いますが、矯正治療を行った結果得られることは、「改善された歯並び」ですよね。
ここで考えていただきたいのは、「改善された」というところです。
そもそも、歯並びやかみ合わせには個々の骨格や歯の形態、筋肉や舌の位置や力、日常生活の機能や癖などが大きく影響します
もともと歯の本数が足りないなどの先天的(生まれつき)な要素以外では、現在の状態は必然的に起こっていることが多いのです。
つまり、矯正治療というのは、「自然とそうなったものを人間の知恵によって人工的に矯正していく治療」であるともいえます。
その方の、歯本来の「ここに居たい、このように噛んでいたい」とは違う噛みあわせを作り上げていくのです。
「(成人矯正の)矯正治療はおよそ2年~3年前後」と、よく聞かれるのではないでしょうか。
もともとの歯並びや、年齢、どのような歯並びをゴールに設定するかによっても、治療期間は異なります。
しかし、歯を動かす「矯正治療期間」が終了しても、器具が外れた後にそのまま「解放的」な状態でいると、歯は元の位置へ戻ろうとしてしまいます。
それが、よく言われる「後戻り」です。
一般的に言われる「矯正治療はおよそ2年~3年前後」には、「歯を動かすために必要な期間」であり、後戻りを予防する期間は含まれていません。
矯正治療は、「器具が外れたら終わり」ではなく、器具が外れたら「次のステージ」へと、進むことになるのです。
そのステージこそが、後戻りを予防する治療である「保定治療」なのです。
2.後戻りはどうしておこる?
矯正治療により、歯や口元を理想的な位置に移動させることは可能です。
歯は骨と直接くっついているわけではありません。
骨と歯の根っこの間には0.2㎜程のわずかな隙間があり、歯根膜という線維性の組織で歯と骨がつながっているのです。
歯が動く際に、歯の周りの骨が生体の改造を繰り返し、歯が動いていきます。
治療が終了した直後は、歯と骨の改造により広がっていた骨と歯の隙間が落ち着かないために、歯はグラグラと動きやすい状態になります。
そして、歯が元にいた場所に戻ろうとします。
治療直後は歯を支えている骨や歯根膜の状態が安定していないので、戻ろうとする力はさらに強いのです。
特に、矯正治療が終了して器具が外れた最初の3~4か月は、最も後戻りが起こりやすい時期となります。
ただし、最初の3~4か月を過ごしたら後戻りが起こらないようになる、、、わけではないのです。
矯正治療後の歯並びの不安定さ(後戻りやすさ)を100とすると、治療後、年単位で経過を過ごしても、後戻りを起こさないことはないのです。
イメージとすると、このような感じです。
この後戻りの要因には、リテーナーの使用が不十分であるだけでなく、加齢変化や癖の有無も含まれています。
矯正治療が終わってしばらくたってからでも、ゆっくりとでも、歯が動く力は永続的に続きます。
先ほど書いたように、歯は骨にしっかりとくっついているわけではないからです。
矯正治療で歯を動かすことができるということは、健康であれば自然に歯が動く要素はずっとあり続けるのです。
成人矯正という名前はついていますが、いわゆる、小児矯正と区別するための名称ですから、「永久歯」であれば成人矯正という区切りになるため、大人でなくとも「成人矯正」が適応されます。
つまり、年齢が低い時期に矯正治療を終えた成長期の方にとっては、この「保定期間」が長くなるわけです。
矯正終了時期がまだ年齢が幼ければ、成長や、さらに加齢変化も加わるため、より一層、歯並びをきれいなままを保ち続けていくことは難しいのです。
そこで、この力に対抗するのが「保定装置・リテーナー」です。
リテーナーは、様々な形態があります。
前歯の裏に固定式の装置を取り付けるものや、着脱式のものがあります。
簡単にまとめた表を示してみます。
着脱式の場合は、装置をご自身で取りはずせることから、装置の装着を怠ってしまうと、保定の力は働きません。積極的に使用をしていただかなければならない必要性があります。
「歯並びがきれいになったからリテーナーはもういいかな」などと、矯正治療終了直後から自己判断で使用を中断してしまうと、ほぼ確実に歯の後戻りが生じてしまうことにつながります。
また、「癖」というものも後戻りの原因の一つとなります。
たとえば、舌で前歯を押す癖、爪を噛む癖、頬杖、舌のあるべき位置(舌癖)など。悪習癖があると、きれいに整えた歯並びが悪くなってしまうこともあります。
癖というものは毎日、無意識のうちに重ねてしまいます。すぐに治せるものでもないのがほとんどです。
ちょっとした筋肉トレーニングと同じだと思ってください。
最初のうちは興味も意識もとても高いので、張り切ってやりますよね。そして、それを続けることはなかなか難しい。でも、その継続こそが大事なのです。
矯正治療が終了するまでには時間があります。これらの癖も、歯並びと一緒に改善、習慣化するようにしていただけるといいなと思います。
3.リテーナーについて
これまでの話から、「保定装置・リテーナー」というものが、大事なんだ、ということはおわかりいただけたと思います。
では、このリテーナーの使用期間は、どのくらいだと思われますか?
半年?1年?2年?
結論から言ってしまうと、理想的な歯並びを獲得し続けていきたいのであれば、「生涯にわたる使用」が推奨されます。
リテーナーは、一時的なものではないのです。ですが、こうした事実は、矯正前には知らされていないことが多くあることも、実際にはあるようです。
先述の通り、歯を支える歯周組織は治療後に適応するまで時間がかかるほか、徐々に年を重ねることで生じる加齢変化も起こってきます。
それ以外にも、日々の生活において、自身の唇や舌の圧力や食いしばり、姿勢などによって、歯は動いていきます。
これらの力によって、歯は治療前の位置へ、または、さらに治療前とは異なる位置へ動いていこうとしてしまうのです。
それを食い止めるためのリテーナーです。
ですが、このリテーナーも決して万能ではない、という残念なことがあります。
多くのリテーナーは上下の歯ならびを別々に、並べたアーチを崩さないようにとどめておくよう、カバー状に設計されています。
かみ合わせを、いい状態で噛ませた状態で抑えることはできません。また、装置を外している時間もあるわけですから、歯を1㎜も動かさないようにできるわけでもありません。
つまり、リテーナーを規定通り装着していても、歯は、ある程度は動くものである、ということをご理解いただきたいのです。
ご理解いただいたうえで、リテーナーを上手に生活の一部に浸透させて活用いただくことが、長期的に歯並びを大きく変化させない秘訣であると思います。
4.まとめ
今回は後戻りと、リテーナーについてお話をしてきました。
矯正治療中の方も、これから矯正治療をお考えの方も、歯の後戻りや保定の必要性について、少しでもご理解いただけたら嬉しいです。
後戻りには、
①歯周組織の構造から、自然におこる歯の動き
②加齢変化
③いろいろなご自身の癖(舌癖や、爪噛み癖、頬杖など)
④リテーナー装着への理解
と、原因が一つではなく、複雑に混ざり起こってくるということです。
「後戻り」とお伝えし続けてきましたが、「矯正治療後に歯並びが変化をする」ということは、気を配っていても、起こることは往々にしてあり得ることなのです。
それは決して「元のかみ合わせの状態、歯並び、歯の位置に戻る」ということだけではなく、「生体の変化と、加齢変化から起こる自然な動き」でもあるのです。
ピラティスやヨガで姿勢を整えるレッスンを受けても、いつもいつも素敵な姿勢を保つことって難しいですよね。
最初のうちはカラダを変えるためのレッスンに短いスパンで通い、定着してきたら、スパンは長くなるけれど、それを保ち自分のものにするために定期的に通い続ける。
矯正治療も同じです。自然に任せていたら、気が緩んだ癖や、状態へ流れていきたくなるものです。
歯並びを治すために歯科医院に通い、きれいになった後も、それを保つために定期的にメンテナンスを受ける。
キレイに整えた後の、日々の意識やちょっとした補助装置を使った、「メンテナンス」が必要なんだ、と思っていただけたら嬉しいです。
身体の変化や、ヒトの体の構造上のものは思った通りに自在に操れるものではありません。
ですが、ご自身の日常習慣への心持ちをすこし変えていただき、よい状態を継続していただくことが、よりきれいな歯並びを保つことへとつながることになるのです。
一大決心をしてきれいに矯正された歯並びを、ぜひ保っていただきたいと思います。
矯正治療は、治療にももちろん時間がかかりますが、そのあとのケア、メンテナンスも重要です。
ご不安なことや疑問が生じることもあると思います。
当院では院長をはじめ、矯正経験を持ち合わせたスタッフが多く在籍しております。
習癖除去のトレーニングもスタッフがプログラムを組んでMFT(口腔周囲筋のトレーニング)を行うことも可能です。
ぜひ一度、ご相談ください。